各事業者・団体の取組好事例

小売業

就業者数
200人~299人
主な取組内容
  • マニュアルの作成と周知
  • 「15分ルール」の導入

【経緯】就業者を苦しめるカスハラ

以前から「1時間以上にわたる長時間の拘束」、「土下座の要求」、「執拗なクレームの繰り返し」などのカスハラが発生していました。こうした行為を受けた就業者は身体的・精神的に悪影響を受けており、精神的な苦痛から担当変更を余儀なくされたケースもありました。
しかし、当時は、「カスハラ」という言葉も一般的ではなく、これらの行為がハラスメントに該当すると認識していませんでした。そのため、全て「クレーム」とみなし、就業者に対応するよう求めており、就業者の負担が非常に大きくなっていました
そのような中、国がカスハラの方針を掲げたことで、カスハラの存在を認識するようになり、カスハラ対応について検討することとなりました。

【対応】カスハラから身を守るための「鎧」をまとう

カスハラについて社内で検討の結果、就業者がカスハラ行為をうけても、落ち着いて対応できるようなルール作りが重要という結論になり、カスハラから身を守るための「鎧」となるようなルールを作るための取組を実施することとしました

1.マニュアルの作成と周知

まず、カスハラ対策の担当者が外部で研修を受け、自社の独自マニュアルを作成しました。このマニュアルは、要点を絞って記載することで、就業者が簡潔に内容を理解できるように工夫しました
また、作成しただけでは十分な効果を発揮しないので、店舗のバックヤードに掲示し、いつでも就業者が確認できるようにしました

2.「15分ルール」の導入

電話対応において、長時間の対応を避けるため、「長くても15分以上」と明確に時間を区切り、それ以上の時間同じ内容の不満を繰り返す電話については、上司に代わるか、電話を切るというルールを設けました。これにより、就業者が迷いなく、対応の引継ぎ・中止に移ることができるようになり、長時間にわたり精神的な負担を受けることが防げるようになりました。

3.店舗での連携体制の強化

パートやアルバイトを含めたすべての就業者がカスハラに直面した場合、一人で抱え込まず、すぐに店長や副店長に助けを求めるよう徹底しております。これにより、就業者が安心して適切な初動対応を行うことができるとともに、事態の悪化を防ぎます。

4.顧客等からの問い合わせ方法の多様化

顧客等からの問い合わせ窓口として、従来の店舗もしくは電話での対応に加え、ホームページに問い合わせ窓口を設け、対面や電話だけでなくメールでの意見やクレームも受け付けるようにしました。メールによる意見やクレームは、顧客等が気持ちを文字にする間に冷静になり、突発的な感情の高ぶりが抑えられるため、カスハラになりづらい利点がありました。
また、就業者も落ち着いて対応することが可能になり、適切な回答を返すことができるようになりました。
就業者向けの相談窓口も、従来の窓口に加え、セクハラなど相談しにくい内容のための女性専用の窓口も設けました。女性の担当者が対応しており、女性が多い職場でもありますので、安心して相談してもらえていると考えています。

5.「顧客等は神様」からの脱却

会社としてカスハラに対する方針を定め、ハラスメント行為と判断した場合は、対応を中止させていただくことを明記しました。これにより、「顧客等は神様」という考え方から脱却し、「顧客等は顧客等」という認識を就業者と共有することができました
この認識の変化により、カスハラ行為に対しては毅然とした態度で臨み、必要であれば出入り禁止などの厳格な措置を取りやすくなりました。

【効果】カスハラ防止に関して大きな改善

就業者は「会社が自分たちを守ってくれる」という安心感を持つことができ、「明確な対応手順がある」「こういう時は断っていい」と自信を持って業務に臨めるようになりました
また、会社のカスハラ対策への姿勢を広く示すことは、顧客側の意識変革にもつながり、カスハラの抑止力として機能していると感じています。