各事業者・団体の取組好事例
製造業
- 就業者数
- 300人~499人
- 主な取組内容
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- 相談窓口の運営
- 全社共有のデータベース運用
【現状】電話によるカスハラと、就業者が「職務」と抱え込む課題
当社でもカスハラは発生しており、その多くは一般消費者からの電話によるものです。この1年で減少傾向にありますが、依然として根絶したと言える状況ではありません。
具体的なカスハラ行為としては、「同一人物による執拗な電話」や「1時間にも及ぶ長時間拘束」が多いですが、中には「SNS投稿を示唆する脅迫」や「新聞に謝罪記事を載せろ」といった「理不尽かつ過剰な要求」もありました。
大きな問題の一つとして、就業者がカスハラを「職務」と捉え、事案の報告を控え、問題を一人で抱え込んでしまう傾向にあることが挙げられます。
これは、電話対応を行う就業者に多い傾向ですが、彼らが問題を抱え込むことで、本人の就業環境が悪化するとともに、実態の正確な把握ができず、組織的な対応が遅れてしまうリスクがあります。
【対応】専任者によるフォローと組織的対応
現状を踏まえ、以下のような取組を実施しています。
1.ハラスメント対策室による相談窓口の運営
カスハラを含めたハラスメント全般の相談窓口を運営し、全就業者を対象に相談を受けています。
また、就業者が一人で抱え込まないよう、専任者が電話応対の様子を観察し、「何かおかしい」と感じた場合は個別に声をかけ、一人で抱え込ませないように配慮しています。
2.全従業員を対象としたハラスメント研修の実施
全就業者を対象としたハラスメント全体に関する研修の一環として、該当社員に対し、個別にカスハラ対応策を指示しています。
3.組織的な対応ルールの徹底と冷却期間の確保
就業者が孤立することを防ぐため、以下の具体的な対応指導を行っています。
- 無理な要求を拒否していいことの周知
- 顧客等が感情的になっている際は、電話を一度切り、時間を置くことの推奨
- 過度な謝罪対応をやめ、適切に謝罪し、毅然とした対応をすることの徹底
4.全社共有の「クレームデータベース」運用
全従業員から寄せられたクレームやカスハラ事案をすべてデータベースに入力し、全管理職が閲覧できる体制を構築しています。
5.顧問弁護士との連携体制の構築
深刻な事案に対応するため、顧問弁護士との連携体制を整えています。
【課題】カスハラ対策における今後の課題と展望
現在の最大の課題は、就業者に「カスハラは職務だから我慢する」という意識が根強いことです。
この課題を克服するため、まずは「会社に相談することは悪いことではない」という意識へと変革させ、就業者が堂々と相談できる仕組みを確立したいと考えております。
また、仕組みを構築した上で「無理な要求には応えなくて良い」という会社の毅然とした方針を明確に伝達し、就業者の精神的な負担軽減を図ることも必要であると感じております。
そのためには、現場からの要望に応じたカスハラ対応マニュアルの作成が急務です。今後は、クレームデータベースに蓄積された具体的な事例を、個人が特定されない形で組織全体に周知し、対応ノウハウの共有と学習を促進することを展望しています。